従来より、民間講習団体では、国の定める飛行マニュアルに沿った講習を実施しドローン飛行の法律等を学科で、飛行技能は実技で行い「無人航空機操縦技能認証」等の認証証を発行しています。
2022年12月の法律改正によって、無人航空機を飛行させるのに必要な技能(知識及び能力)を有することを証明する免許制度が始まります。
このドローン免許制度は、国が免許を交付する制度で、国の認証した機関が検定試験を行います。
その試験の実技は、ドローンスクールで講習を受け試験に合格すれば国に実技試験のみが免除されます。
この国の定めるドローン免許に沿った内容の講習料金がどのくらいになるのかを独自調査と予想をしています。
これからドローン免許やドローン資格の取得を検討の方には、従来の講習料とを比較して役立てていただけます。
では、国家資格の免許取得に必要な料金について予想します。
本記事はその内容について次のとおり説明しています
Contents
ドローン免許/料金調査(独自調査)
ドローン免許(国家資格)一等無人航空機操縦士に係る課税額とは!
一級無人航空機操縦士の技能証明の課税額は、下記のように示されています。
課税事項課税額
一等無人航空機操縦士の 技能証明 |
一等無人航空機操縦士の技能証明。なお、更新の技能証明は除く。 (登録免許税法別表第1第 32 号(30)ワ関係) | 1 件につき3,000円 |
令和4年9月2日 制定(国空無機第191260号)国土交通省航空局安全部無人航空機安全課長通達
「登録検査機関等に係る登録免許税の納付要領」より
ドローン免許(国家資格)取得に要する講習時間
【免許取得の最低受講時間】
試験は学科・実地のいずれも民間資格を取得した「経験者」と初めてドローンを学ぶ「初学者」に分類され、資格種別ごとに講習の最低受講時間数が異なります。
学科講習 | 実技(飛行時間) | 合計時間 | 初学者と経験者との差 | |||
基本 | 目視外 | |||||
一等 | 初学者 | 18h以上 | 50h | 7h | 75h | 経験者▲51h減 |
経験者 | 9h | 10h | 5h | 24h | ||
二等 | 初学者 | 10h | 10h | 2h | 22h | 経験者▲15h減 |
経験者 | 4h | 2h | 1h | 7h |
※一等:一等無人航空機操縦士 二等:二等無人航空機操縦士
※上図は、目視外資格を取得する方の最低受講時間です。(基本資格は目視外を除いてください)
目視外資格を取得する場合で、
◆一等の初学者と経験者では経験者が51時間受講時間が短くなります。
◆二等では、経験者が15時間受講時間が短くなります。
ドローン資格料金の1時間当りの料金(独自調査)
現スクールの1時間当りの講習料金です。(単位:円)
最低単価 | 平均単価 | 最高単価 | |
1時間単価 | 4,714 | 9,591 | 15,714 |
以下、算出根拠を説明します。
航空局ホームページに掲載されている講習団体を管理する団体として登録されているのは、国交省令和4年9月期掲載分では「88団体」です。
この管理団体88団体のうち講習基本料金・日程等を公表しているは36団体(41%)でした。
その36団体が公表しているコースのうち、「無人航空機操縦技能証明証」の保有者であれば「航空局の無人航空機飛行申請手続きの際に必要な一部書式の提出が免除」される下記のコースに限定して調査しています。
(なので、中級・専門・インストラクター等の上級技術コース等は含まれていません)
◆ドローン未経験者で
◆10時間飛行の講習により
◆無人航空機操縦技能証明証を発行される
(※目視外飛行や夜間飛行が含まれてる(4社)を含みます)
抽出した36団体の講習基本料金から1日当りの講習料金を調べた結果が次表になります。
<操縦技能認定講習の日数と講習料金>
講習日数 | 団体数 | 構成率 | 講習平均額 | 単価/日 |
2日 | 18 | 50% | 163,944 | 81,972 |
2.5日 | 1 | 3% | 132,000 | 52,800 |
3日 | 10 | 27% | 189,850 | 63,283 |
4日 | 5 | 14% | 309,000 | 77,250 |
5日 | 1 | 3% | 250,800 | 50,160 |
6日 | 1 | 3% | 216,000 | 36,000 |
合計 | 36 | 100% | 194,258 |
|
(※座学のeラーニング5団体を除く)
「無人航空機操縦技能証明証」を認定する講習の日数は
2日講習か3日講習で1日当りの講習単価は、6万円~8万円の範囲となります。
次に、講習料金の1時間当りの単価が下図です。
36団体の1時間当りの講習基本単価(円)
最低単価 | 平均単価 | 最高単価 | |
1時間単価 | 4,714 | 9,591 | 15,714 |
(※座学のeラーニング5社を除く)(独自調査)
調査の結果、最高の時間単価「15,714円」となったのが[M団体:2日間22万円更新料1.5万円]でした。
時間単価の設定もこのように幅が広く最大の差額は「11,000円/h」となっていました。
こんなに高いスクールで受ける講習はどうなんでしょう!
ドローン免許/料金の大胆予想!
ドローン免許料金を試算!
上記の1時間当りの単価と、国家資格(免許)「無人航空機操縦者技能証明」に必要な講習時間と組み合わせて国家資格の取得講習料金を試算したのが下図です。
下図が、国が求める免許取得講習の必要時間です。
<国の求めるドローン免許取得講習の必要時間>
学科 | 実技 | 合計時間 | ||
一等 | 初学者 | 18h | 50h | 68h |
経験者 | 9h | 10h | 19h | |
二等 | 初学者 | 10h | 10h | 20h |
経験者 | 4h | 2h | 6h |
※一等:一等無人航空機操縦士 二等:二等無人航空機操縦士
では、この国の求める合計の講習時間に上述調査単価を掛け合わせたのが下図になります。
免許 | 対象 | 必要時間 | 最低単価 | 平均単価 | 最高単価 |
4,714 | 9,591 | 15,714 | |||
一等 | 初学者 | 68h | 320,000 | 650,000 | 1,070,000 |
経験者 | 19h | 90,000 | 180,000 | 300,000 | |
二等 | 初学者 | 20h | 95,000 | 192,000 | 310,000 |
経験者 | 6h | 28,000 | 58,000 | 95,000 |
この試算はあくまでも10時間飛行の操縦士認定の講習内容を基準にしています。
あらためて、新たに制度化される一等・二等の免許内容を確認してみましょう!
◆一等無人航空機操縦士・・・(レベル4相当)
一等は、「有人地帯での目視外飛行(レベル4相当)」が禁止されていたものをこの法改正によって、航空局に飛行毎の許可・承認されれば飛行ができるようになります。
◆二等無人航空機操縦士・・・(一等以外)
二等は、従前に「飛行承認申請をしないと飛ばせなかったもの」を「一部、飛行ごとの許可・承認の申請しなくても飛ばすことができるようになります。
令和2年11月19日. 国土交通省航空局「中間とりまとめ骨子(案)説明資料(資料3)」より
【免許制度の飛行態様】
下図のカテゴリーⅢが「一等ライセンス」対象です。
ここでは、有人地帯の目視外飛行の許可・承認が得られれば飛行できるようになりました。(新設)
カテゴリーⅡでは「一等・二等ライセンス」を有しているものが飛行できます。
機体認証と一等・二等ライセンスを有していても従前通りに、許可・承認が必要な飛行があります。
また、今回新設で、機体認証とライセンスを有していれば従来必要であった許可・承認が不要となった飛行がこのカテゴリーⅡに混在します。
(DID:人口集中地区をいう)
一等無人航空機操縦士の飛行は、有人地帯での目視外飛行(許可・承認が必ず必要)です。
二等では、今回許可・承認が不要となったのは「人口集中地区の上空、夜間飛行、目視外飛行、人と物件との距離が30m以内の飛行」なのです。
このように、新たな国家資格(免許)制度は、一等・二等ともより高度な飛行難度と練度を求めるものなので単純に既存の講習単価だけで講習料金を試算することは乱暴な推論ではあると思います。
なので、私見ではこの倍額程度の講習料金となり得る可能性があると思われます。
ドローンスクールの方には、できる限り良心的にしていたければと願っています。
では、12月の施行までに既存の講習で操縦士認定を取得しておくべきなのかを考えてみます。
ドローン免許(国家資格)/ドローン資格(民間資格)はいらない!
2022年12月までは、ドローンを操縦するうえで『免許』なるものは存在していません。(国家資格は12月から開始です)
勘違いがあるのは、ドローンスクール(民間)の操縦士免許(講習修了証明書)等が現存していますのでドローンを飛ばすのには免許が必要と思われているようです。
上図のカテゴリーⅠは、元々許可・承認も不要ですし、カテゴリーⅡでは、従前のとおりに許可・承認を得られば、免許(国の資格)が無くても飛行させることが可能なのです。
カテゴリーⅢの有人地帯での目視外飛行に限っては、従前の規定は有りませんし一等を取得しなければ飛行させることができないのです。
有人地帯の目視外飛行を必要とする方以外であれば、従前のとおりに許可・承認があれば飛行できるわけです。
そして、ドローン免許取得には、取得のための料金が必要になす。
初学者と経験者別に講習時間が規定されますので、必ず決められた時間分は講習を受けないと受験資格が得られません。
当然、講習料金を負担することになります。
国家資格取得用の講習・受験料金とドローン飛行の仕方の塩梅によります。
事前に民間資格を取っておくのか、12月5日を待って国家資格用の講習と受験をするのか、または、10時間飛行の経験を積んで許可・承認を得てドローン活用するのかの検討が必要です。
ドローンの活用がビジネなのか趣味の範囲なのかによると思います。
趣味でドローンを使っている場合は、12月の免許制度施行後も数年間は今まで通り国交省に飛行許可・承認申請をすることでドローンを飛行させることができますから、急いで国家資格免許や民間資格を取得する必要はないと思います。
飛行許可申請は、1年間の包括申請ができます。なのでいつも手間がかかることはなく、免許を取得せずとも低コストでドローン活用ができます。
新たなドローン免許取得で民間資格のメリットはあるのか
国家資格免許制度の講習は、前述のとおり初学者向けと経験者向けの2通りのカリキュラムが準備されています。
経験者(民間資格取得者)は、初学者に比べ講習時間が大幅に減免されるのです。
そして、現行の飛行許可申請制度は、国家資格免許制度開始後も数年間は並行して運用されることから現行の民間資格の取得は決して損にはならないと思います。
このように考えると次のようなことがいえます。
◆ビジネスで毎日のように規制空域でドローンを飛行させる方・・・新たな国家資格の取得
◆許可・承認の必要な飛行も限定的で飛行頻度も少ない方・・・・・民間資格や飛行許可
◆空域も許可・承認の必要のない空域内で、飛行頻度も低い方・・・民間資格や飛行許可
国家資格制度が始まるからといってあせって資格取得に走る必要はないといえます。
以上、国家ライセンスの制度内容・講習料金・取得の可否について記載しました。
これからも、ドローンの情報をアップしていきますので、お付き合いいただければこの上ない励みになります。
最後までご覧いただきありがとうございました。