ドローンは、多様な業種や用途に使うことができるように広がりを見せています。
いろいろな場面で利用できますが、特に、従前より撮影器具としてプロモーションビデオや映画撮影などに使われてきました。
昨今、降雨や地震による災害で救助や被害状況、農業用に使われる頻度が多くなりつつあります。
このようなドローン撮影における許可・承認について勉強したくて記事にしてみました。
また、ドローン撮影でのプライバシー保護や個人情報保護に関する法令についても大事なことなので今後も情報を仕入れていきたいと思います。
今回は、ドローン撮影に関した飛行許可・承認にしぼって書いていますので最後までご覧いただけば幸いです。
本記事は、次の内容で進めています。
ドローン撮影許可/ドローンで撮影するのに許可が必要か!
ただし、都道府県等の条例で不特定多数の住民が使う公的な「公園など公共区域でドローン撮影できない」ドローンの飛行禁止の条例や所有者等が独自に定める「撮影禁止場所」(神社仏閣等)では撮影そのものができません。
このように「撮影禁止場所」での撮影は、当然、撮影許可が出なければドローン撮影以外の撮影そのものもできないことになります。
また、撮影禁止場所でなくても、第三者が出入りできる区域(河川敷・公園・道路など)において撮影資材の積み下ろしなどで第三者が不便を被り警察へ通報される可能性があるような場所では、あらかじめ管理者や警察に使用許可や使用届出を済ませておくことで問題を回避できます。
法令上、ドローン撮影に問題がない場合であっても「プライバシー侵害」とか思わぬ「難癖やクレーム」を付けられる場合があります。
事前に、ドローン撮影の飛行区域の管理者や警察に許可や届出を済ませた上で撮影に臨まれることをおすすめします。
■ドローン(無人航空機)飛行には飛行許可・承認の必要な場合があります。
次にドローン(無人航空機)飛行の許可承認が必要な範囲等を説明します。
ドローン撮影のための飛行許可承認(法規制)と関連法令等
ドローン(無人航空機)を飛ばす場合には、飛行禁止空域や飛行の方法に関する航空法のルール、関係法令及び地方公共団体が定める条例を遵守して無人航空機を飛行させる必要があります。
ドローンを飛ばす場合の関係法令等は次の7つが主なものとなります。
航空法(航空局・空港事務所)
航空法では飛行禁止空域と飛行の方法として基本ルールが規定されています。
◆航空法第132条第1項:飛行の禁止空域
<飛行禁止区域>(許可が必要)
(A)空港等の周辺の上空の空域
(B)緊急用務空域
(C)地表又は水面から150m以上の高さの空域
(D)人口集中地区の上空
◆航空法第132条の2:飛行の方法
<禁止されている飛行方法>(承認が必要)
(5)夜間飛行
(6)目視外飛行
(7)30m未満の飛行
(8)イベント上空飛行
(9)危険物輸送
(10)物件投下
小型無人機等飛行禁止法(警察庁)
国の重要な施設等及びその周囲おおむね300mの周辺地域の上空における小型無人機等の飛行を原則禁止している法令。
国の重要な施設等
国会議事堂、内閣総理大臣官邸、最高裁判所、皇居等
危機管理行政機関の庁舎
対象政党事務所
・対象外国公館等
・対象防衛関係施設(令和元年改正で追加)
・対象空港(令和2年改正で追加)
・対象原子力事業所
<特措法に基づき指定する施設>
・大会会場等(令和元年改正で追加):オリンピック会場等
・空港(令和元年改正で追加)
民法(各土地所有者、又は管理者)
誰かの所有地でドローンを飛行させる場合、土地の所有者や管理者の承諾を得るのが望ましいです。
電波法(総務省)
無人移動体画像伝送システムで画像伝送するためには、電波法令に基づき無線局の免許を受ける必要があります。
無人移動体画像伝送システムは、一般業務用(産業の用に供するものに限る。)として、平成28年8月に制度化され、高画質映像の長距離伝送などを可能とする2.4GHz帯及び5.7GHz帯等の周波数を使って伝送するものです。
道路交通法(管轄の警察署)
『道路交通法』では、第七十七条で「道路において工事若しくは作業をしようとする者」に対して「道路使用許可申請書(申請料2,700円)」を管轄の警察署に提出し、事前に許可証を取得しなければならないと定めています。
都道府県、市区町村条例(各市区町村役所)
都道府県・市町村ごとに条例によりドローン飛行の禁止場所(例:都市公園や公共施設等)が下図のように示されています。
個人情報保護法等(総務省)
◆ドローンによる映像撮影等のインターネット上での取り扱い(総務省)
プライバシー侵害・所有権侵害・肖像権侵害に関するガイドライン等によりドローン撮影によるインターネット上での取り扱いについて下記のように示されている。
<具体的に注意すべき事項>
1)住宅地にカメラを向けないようにするなど撮影態様に配慮すること
2)プライバシー侵害の可能性がある撮影映像等にぼかしを入れるなどの配慮をす
ること
(表札や個人の容貌のある情報が含まれる場合、映像にぼかしを入れるなど)
ただし、ぼかし加工をしても、加工前の映像も保存している場合には、当該情報は「個人情報」に該当し、それがデータベース化されている場合には「個人情報データベース等」に該当します。
3)撮影映像等をインターネット上で公開するサービスを提供する電気通信事業者においては、削除依頼への対応を適切に行うこと
次には、飛行許可と承認の申請先と申請手続きの方法を説明します。
ドローン撮影のための飛行許可承認の申請先と申請方法
あらためて、ドローン飛行の許可・承認が必要な空域・飛行方法を復習して、100g以上の無人航空機を屋外で飛行させる際に必要な「飛行許可・承認手続」について説明します。
無人航空機を屋外で飛行させるために必要な手続き全体のうち、航空法第132条の85、86に基づく「飛行許可・承認手続」は下図の位置づけです。
本手続きは該当カテゴリー及び機体認証・操縦者技能証明の有無により省略できる場合がありますので後述にて手続きの要否をご確認ください。
※無人航空機を飛行させるための一連の手続きは原則、後述のオンラインサービス「ドローン情報基盤システム<通称:DIPS2.0>」より行います。
※飛行許可・承認手続きをするには、機体登録し登録記号の取得または試験飛行届出番号を取得している必要があります。
飛行許可・承認に違反する飛行の罰則
航空法において、国土交通大臣の許可や承認が必要となる空域及び方法での飛行(特定飛行)を行う場合は、基本的に飛行許可・承認手続きが必要になります。
なお、適切な許可・承認を取得せずに無人航空機を飛行させた場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処される可能性があります。
<許可・承認の必要な飛行の復習とカテゴリーからの許可承認の要否>
許可・承認の必要な特定飛行に該当する飛行とは!
◆許可が必要な空域
以下の空域を飛行する場合、飛行許可申請が必要です。
◆承認が必要な飛行の方法
以下の方法で飛行を行う場合、飛行承認申請が必要です。
続いて、ドローンを飛ばすための安全措置や資格による許可・承認の必要範囲です。
無人航空機を飛ばす体制等による飛行形態は、リスクに応じた次の3つのカテゴリー(リスクの高いものからカテゴリーⅢ、Ⅱ、Ⅰ)に分類され、該当するカテゴリーに応じて許可・承認手続きの要否が決まります。
カテゴリーとは
カテゴリーⅢ | 特定飛行のうち、無人航空機の飛行経路下において 立入管理措置を講じないで行う飛行。 (=第三者の上空で特定飛行を行う) |
カテゴリーⅡ | 特定飛行のうち、無人航空機の飛行経路下において 立入管理措置を講じたうえで行う飛行。 (=第三者の上空を飛行しない) |
カテゴリーⅠ | 特定飛行に該当しない飛行。 航空法上の飛行許可・承認手続きは不要。 |
※立入管理措置とは、無人航空機の飛行経路下において、第三者(無人航空機を飛行させる者及びこれを補助する者以外の者)の立入りを制限することを指します。
※機体認証及び操縦者技能証明の取得により、カテゴリーⅡ飛行のうち一部の飛行許可・承認手続が不要になる場合があります。
詳細は下記「飛行カテゴリー決定のフロー図」を参照ください。
飛行カテゴリー決定のフロー図
飛行許可・承認手続きの要否まとめ
特定飛行に該当しないため、飛行許可・承認申請は不要です。
特定飛行のうち「カテゴリーⅡA飛行」(下記の飛行)
■最大離陸重量25kg以上の無人航空機の飛行であって
■空港等周辺の上空
■150m以上の上空
■催し場所の上空
■危険物輸送
■物件投下
これらの飛行については、立入管理措置を講じた上で、無人航空機操縦士の技能証明や機体認証の有無を問わず、個別に許可・承認を受ける必要があります。
また、特定飛行のうち上記の場合以外「カテゴリーⅡB飛行」(下記の飛行)
■最大離陸重量が25kg未満の無人航空機の飛行であって
■DID(人口集中地区)上空の飛行
■夜間の飛行
■目視外の飛行
■人又は物件から30mの距離を取らない飛行
これらの飛行については、立入管理措置を講じた上で、無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合、飛行マニュアルの作成等無人航空機の飛行の安全を確保するために必要な措置を講じることにより、許可・承認を不要とすることができます(カテゴリーⅡB飛行)。
※この飛行マニュアルは、無人航空機を飛行させる者が安全の確保に必要な事項を盛り込み、その内容や形式は、飛行の実態に即して作成し、これを遵守する必要があります。
これら以外の場合の飛行は、個別に許可・承認を受ける必要があります(カテゴリーⅡA飛行)。
レベル4飛行(有人地帯における補助者なし目視外飛行)を含むカテゴリーⅢ飛行は、
◆一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が
◆第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合であって、
飛行の形態に応じたリスク評価結果に基づく飛行マニュアルの作成を含め、運航の管理が適切に行われていることを確認して許可・承認を受けた場合に限ります。
飛行許可・承認手続きの方法
無人航空機の飛行申請方法について
オンラインサービス「ドローン情報基盤システム(飛行許可承認機能)<通称:DIPS>」で申請を行います。(紙申請も可能)
飛行申請フロー
STEP.1:ドローン情報基盤システム<通称:DIPS2.0>のアカウントからログイン。
STEP.2:飛行許可・承認申請書を作成し提出します。
<参照>ドローン情報基盤システム操作マニュアル(飛行許可・承認申請編)
なお、空港等の周辺及び150m以上の空域を飛行する場合、空港等設置管理者や空域を管轄する管制機関と事前の調整が必要となります。
提出された申請は、「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」に基づき審査されます。
飛行させる空域や地域 | 申請の宛先 |
空港等周辺、緊急用務空域及び地上 又は水上から150m以上の高さの空域 |
東京空港事務所長又は関西空港事務所長 (下の日本地図の青色・黄色内の空港や地域で飛行させる場合は ■部の東西の空港事務所に申請します) |
人口集中地区の上空、夜間飛行、目視外飛行、 人又は物件から30m以上の距離が確保できない飛行、 催し場所上空、危険物の輸送、 物件投下の飛行 |
東京航空局長又は大阪航空局長 ((下の日本地図の青色・黄色内で地域で飛行させる場合は ■部の東西の航空局に申請します) |
申請先は、下図のように飛行させる都道府県別に「東日本と西日本」に分かれます。
※許可・承認申請書提出先と管轄都道府県が分かるのがこちらの「国土交通省、地方航空局及び空港事務所の連絡先等一覧」です。
なお、国土交通省への申請は「公海上」での飛行の場合です。
STEP.3:申請書が承認されると許可書が発行され、DIPS2.0内で確認できます。
STEP.4:飛行の実施にあたっては、下記対応も必須となります。
<飛行計画、飛行日誌の作成、通報>
飛行許可・承認を受けた飛行(特定飛行)をする場合は、飛行計画の通報、飛行日誌の作成が必要。
<航空局へ事故報告>
特定飛行かどうかに関わらず無人航空機に関する事故等が発生したとき、救護義務と事故詳細の航空局報告が必要です。
詳細は、「無人航空機の飛行」を参照ください。
飛行許可・承認の申請の種類
飛行許可・承認申請には「通常申請」と「包括申請」という2種類の申請があります。
毎回飛行を計画するたびに飛行日時や場所、飛行方法などについて申請する方法
日時や場所を特定せず、最長1年間の飛行についてまとめて申請する方法
いろいろな場所で何度もドローンを操縦するという方は、包括申請の手続きをすることで毎回手続きをする必要がなくなります。
ただし、飛行する場所や方法によっては通常申請でなければ許可・承認が下りないので注意が必要です。
飛行許可・承認の申請方法
◆一括申請◆ 申請が必要な飛行について、複数の事項の許可等が必要な場合は、 一括して申請することが可能です。 (飛行例)●人又は家屋の密集した地域の上空における、目視外飛行及び30m未満での飛行 ●夜間飛行、目視外飛行、及び30m未満での飛行 ただし、下図の飛行経路を特定する必要がある飛行をする場合は、 飛行経路を特定しない申請はできないので注意です。 |
◆包括申請◆ 包括申請は、飛行期間は原則3ヶ月(1年間を最長)として提出します。 ■無人航空機の許可承認申請では飛行経路を特定せずに申請できます。(日本全国、○○県など) (飛行例)●人又は家屋の密集した地域の上空における、目視外飛行及び30m未満での飛行 ●夜間飛行、目視外飛行、及び30m未満での飛行 ■同一の申請者が一定期間内に反復して飛行を行う場合であり、 また継続的に飛行を行う場合は、1年を限度として申請できます。 ■また、下図の【飛行の経路を特定する必要がある飛行】において、 同一期間内に異なる複数の場所で飛行を行う場合は、 まとめて申請できます。(地図は1申請につき、5つまで作成が可能です) (飛行例)・地表または水面から150m以上の高さの空域における飛行 (神奈川県相模原市、神奈川県平塚市、etc) |
◆代行申請◆ 複数の申請者による飛行をとりまとめて行う場合の申請は、 それらの飛行をとりまとめる者を代表者とし、 代行して申請することが可能です。(事業者代表者、クラブ代表者等) また、飛行の委託を行っている者が受託者の飛行について行う場合の申請は、 飛行の委託を行っている者に、代行して申請することが可能です。 なお、申請に関する内容、飛行許可承認後の飛行の事実確認等、 航空局からの問い合わせは代行申請者に対し行うこととなります。 |
ただし、以下 の飛行を実施する場合は、飛行経路を特定しない申請はできません。
また、飛行経路を特定しない申請を実施する場合は『航空局標準マニュアル02』に記載された安全体制を設定する必要があります。
【飛行の経路を特定する必要がある飛行】 ・空港等周辺における飛行 ・地表または水面から150m以上の高さの空域における飛行 ・人又は家屋の密集している地域の上空における夜間飛行 ・夜間における目視外飛行 ・補助者を配置しない目視外飛行 ・趣味目的での飛行 ・研究開発目的での飛行 【飛行の経路及び日時を特定する必要がある飛行】 ・人又は家屋の密集している地域の上空で夜間における目視外飛行 ・催し場所の上空における飛行 |
以上、ドローン撮影のための飛行許可承認の申請先と申請方法でした。
ドローンでの撮影をする上で必要な許可や承認の要否、申請先・申請手続きについて記載しました。
最後までご覧いただきありがとうございました。